Monday, January 18, 2016

サンダースとアメリカ大統領選挙

日本には首相を国民投票で選ぶ制度がない。日本の政治家やメディアがアメリカの政治家や(非企業の)メディアほど政治について詳細を公にしない理由の一つはこれだろう。過去の憲法改正案の中には、日本の首相を国民投票で選ぶ制度を導入しようとした人や団体も存在した。これはよいアイデアだと思う。

アメリカの大統領選挙が本格的に来月から始まる。アメリカで共和党が勝つと、日本でも右翼的な政治家が台頭する。小泉さん、安倍さん等等。アメリカで民主党が勝つと、日本でも中央寄りの政治家が台頭する。小沢さん、鳩山さん等等。なので、アメリカに知り合いがいる人は、かれらと政治について議論をすべきだろうと思う。日本にも大いに関係のあることなのだから。

私はアメリカ国籍をもっていないので、投票をすることはできない。私の友人のほとんども、ユーロ国籍や日本国籍、カナダ国籍などなので、アメリカの大統領選挙には投票できない。中にはアメリカに住民登録している人もいるし、アメリカに納税している人たちもいるが、かれらも国籍を持っていないので投票ができない。

しかし、バーニー・サンダースの演説を聴いてしまうと、アメリカ国民に対して嫉妬せざるをえない。これほどすばらしい政治家は今までみたことがない。

もちろん、オバマはすばらしかった。オバマが当選したとき、カナダにいた私は友人たちとものすごい勢いでお祝いをした。あれから8年が経ち、オバマは色々なよいことをした。共和党が上院でも下院でも多数派となり、オバマ・ケアに対して全火力を向けた後でも、国民健康保険制度はうまく導入され、数百万人のアメリカ国民が健康保険に加入することができた。さらに、オバマは同性愛者も軍隊に志願できるようにし、同性結婚を支持もした。

他方で、オバマはウォール街の金権主義者たちに対して好意的な政治を行った。アイスランドでは、金融危機を引き起こした銀行の親玉たちは皆刑務所行きとなった。対して、オバマ率いるアメリカの警察は、大銀行や投資会社、格付会社などの親玉を一人も刑務所に送らなかった。それどころか、ポールセンやガイトナーはホワイトハウスに招かれ、新たな仕事のオファーを得た。

オバマがアメリカ経済にしたことは本当に残念である。チャールズ・ファーガスンやヤニス・ヴァルファキスなどの経済学者の声を聞くまでもなく、オバマが大きなチャンスをふいにしたという気持ちは多くの人が共有しているはずだ。政治に対するアメリカ国民の幻滅の根っこは、オバマのこの失敗だろう。

しかし、サンダースはそうした幻滅感を払拭してくれる政治家だと思う。かれはまずもって「ウォール街の金権主義を打ち倒せ」 というメッセージを強調する。具体的な戦略も用意している。オバマ・ケアをさらによくしようと言う。公立大学を学費無料にしようと言う。最低時給を今の二倍の15ドルにしようと言う。そのための資金は、ウォール街からの税収でまかなおうと言う。そして、自分のことを「民主的社会主義者」と呼ぶ。「社会主義」という言葉は、アメリカ政治では禁句であり、最大の侮辱として使われる。それを、サンダースは堂々と自分の呼び名として使った。それでも、かれの支持率は落ちない。

サンダースがアメリカの大統領となれば、日本の政治も変わらざるを得ないだろう。もしかしたら、日本にも同じような首相が誕生するかもしれない。「東電は原発災害のコストを払うべきだ」「最低時給1500円」「公立大学学費無料」といったことを堂々と言い、実行する首相が出てくるかもしれない。沖縄から米軍基地を撤退させるために必要なことをすべてする準備のある人が首相となってくれるかもしれない。生活保護制度を改革してくれる人が首相になってくれるかもしれない。

日本では、首相を国民投票によって選出することができない。この制度には良い面もあるが、現在はその悪い面が際立ってしまっていると思う。アメリカでは、政治が国民の望みや意志に反する方向に進むとき、国民投票によって舵を切ることができる。日本国民である私には寄付も政治活動も投票もすることができないが、サンダースにぜひ当選してほしいと強く思う。