Sunday, February 28, 2016

統治通貨制度のこと

つい最近、フロスティ・シガーヨンスソン氏の『通貨改革』というレポートの和訳作業を終えた。第一稿から編集、レイアウト、誤字脱字チェックまですべて一人で行ったので、かなり疲れたが、やりがいのある作業だった。

決して易しいレポートではないが、専門書ほど難解ではない。人文系学科を卒業されている読者ならば誰でも読める文体および内容であると思う。

フロスティ氏は、現行制度に代わる案として「統治通貨制度」を提唱する。このアイデアのねらいは以下の二点に凝縮できる。

  1. 通貨の発行権を配分権から切り離す。つまり、通貨の発行や消去について決定をする人たちは、通貨を発行・消去しても直接利益を得ることができない。配分者の方も、自分たちにとって都合の良い量の通貨を発行・消去することができない。これによって、私利私欲から銀行が通貨を発行する危険性がほぼなくなる。
  2. 取引口座と投資口座を明確にわける。これは、私たち一般国民の意識改革にもつながる。取引口座に預けたお金には、金利がつかないが、このお金がなくなる心配はない。対して、投資口座の預金には金利がつくが、銀行の融資行動いかんで預金がなくなるリスクもある。簡単に言えば、「金利がほしい人はリスクを見極めて慎重に投資をしてくださいね」と国民にアナウンスをする制度である。 
もし上の二点が特に画期的とも思えない方は、健全な感覚の持ち主ではあるが、しかし現代の通貨制度の劣悪さを知らないという意味では無知である。逆に、上二点があまりにも画期的で実現不可能であると感じてしまう方は、現代の銀行制度や通貨制度に精通しているからこそそう感じるのであろうけれど、あまりにも精通しているがゆえに健全な感覚を失ってしまった恐れもある。

どちらのタイプの読者にも、私はフロスティ氏のレポートを一読されることをお薦めしたい。これによって、現代の通貨制度の仕組みについて知ることができる上、現行制度の問題点を乗り越えるために必要なことを学ぶこともできる。